Week 5 までのレイダーズディフェンスの分析
2016シーズンのおさらい
- Raiders はフロント・セカンダリーともマンツーマンを主体とした、各個人の強さでマーク対象にあたる、ごくごく単純なディフェンススキームをもって開幕に挑んだ(このスキーム自体は故 Al Davis の時代から続く、いわば”Legacy”だった)。
- しかし、このスキームは Week 1,2 を通じて”歴史的”失敗に終わった
この失敗はいわば必然であったといえる。現在のプロフットボールでは
11すべてのディフェンスポジションに、11すべてのオフェンスポジションを圧倒できる選手をそろえる
ことは不可能。モダーンフットボールの発展の歴史はだから、各ユニットごとの連携を重視して
「チーム(ユニット)としての生産性を上げることで相手を上回る」
ことを目標とし、その運用方法の優劣を競っている。Raiders の不振の根本的な原因はこの「モダーンな」フットボールへの時流の変化に乗り遅れたことにある。
- Week 3 以降はブリッツを入れる。ゾーンディフェンスを取り入れるなどスキームの修正/路線変更が図られた
- が、スキームを徹底できなかった。カバーアサイメントのミスなどからターゲットをフリーにしロングゲインを許す場面が多くみられた
ネットで見かけた Raiders フロントの内幕
- ヘッドコーチの J.Del Rio はディフェンスコーチ K.Norton への信頼を失くし(当然だ)彼からディフェンス構築の権限を奪った
- しかしシーズン中の”付け焼刃的な”スキームでは”プロ”に通用しなかった(当然だ)
- 今季から加入した J.Pagano は、いわば J.Del Rio が Norton をけん制(無力化する/権限と責任を取り上げる)するための一手だったという説。
ここから推測できるのは
- J Del Rio は Norton を切りたいと思っているが果たせなかった。 Pagano の加入は Del Rio が打てる精一杯の一手だった
ということと、もう一つ
- Del Rio より上位にいる誰かが Norton を庇ってる
らしいこと。なんにせよこういった”非生産的”な政治劇によってチームが振り回されるのは災難というほかない。
ここまでの Raiders Defense
すこぶる良い。シーズン開幕までは「かなりマズいことになる」と予想していたが、良い方に裏切られた。
- ユニット間の”Communication”の改善。ポカが激減した
- インテリアDLの活躍
- 上の活躍による(おそらく)ILB の躍動
- K.Joseph の適性を引き出そうとする新しい取り組み
などが影響している。
インテリアDLの活躍
- M.Edwards Jr.
- J.Ellis
- E.Vanderdoes
三人の活躍が目立つ。特にEdwards はプロボウラーに手が届きそう。
Vanderdoes は 1対1には強いが「オフェンスの意図を読み取って、その意図をスポイルするように動く」ことはまだできていない。対面に気を取られて自分の責任ギャップにランを通される場面が散見される(多くはない)
ILB の躍動
彼らの活躍は
- その前でのインテリアラインの活躍
- そもそも Raiders が強い競争力を持っていた K.Mack/B.Irvin のコンテイン力
を抜きにしては語れないが、その与えられた環境での仕事ぶりが素晴らしい。
- C.James は特にランディフェンスで投機的(ギャップに突っ込みロスタックルを狙う)役割が目立つ
- 新人 M.Lee は彼の後ろでバックアップ(ボックスエリアでのランストップ)を担う機会が多いよう
- 同じく新人の N.Morrow は所謂 $Back 的な役割が多い。
其々が持てる長所を出し合って、競い合ってる。素晴らしい!
パスカバー
- マンツーマン、ゾーンとも昨季を上回る精度に仕上がっている
- 特にオフェンスが「レシーバーをタイトにセットさせたフォーメンションから、レシーバーがアクロスしながら出てくるプレイ」(分かりずらい)でのカバーの分担が良い。
マンツーマンで左右CB Amerson と S.Smith が抜かれてロングゲインを許す場面が目立つが、逆にいえばロングゲインを許す場面が少ないからこそ彼らがやられた場面が目立つ、ともいえる。
そもそもこの二人は”シャットダウン”コーナーではないわけで、チームとしては彼らに”活を入れる”(日本的な)アプローチでなく、もっと別の”現実的”で”生産的”で”Coolな”アプローチが必要だと考える。
パスラッシュ
Raiders はこの分野でも意欲的な取り組みを行っている(まだまだ粗削りではある)。
動画張り忘れは当アカウントの仕様です。
( ・ω・) pic.twitter.com/bsa05frXV8— ケチャ[kétʃə]若干舞い上がり中 (@toosourketchup) October 9, 2017
Raider-D の新機軸”J Package”(仮称)
”J Package”(仮称)とは、
- SS K.Joseph のアタック能力(ラン/パスラッシュ)を活かすべく、
- 彼が”プライマリーアタッカー”となるようにデザインされたプレイとそのパッケージ(ユニット)に、
- 私が勝手につけた名称です。
動画張り忘れた
(´Д`) pic.twitter.com/5DzMGUS6ew— ケチャ[kétʃə]若干舞い上がり中 (@toosourketchup) October 9, 2017
"J Package"2
Week 5 までのレイダーズディフェンスの分析
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Joseph はランにせよパスにせよ「自分が能動的に動くときに高いパフォーマンスを発揮する」選手であり一方で受動的な動き、顕著なのはパスカバーなどにはあまり良いパフォーマンスを見せていない。この”J Package”(仮称)は、そんな Joseph の長所を引き出すことでディフェンス全体の生産性を上げようという取り組みであり、とても望ましいものだと思う。
Raiders Defense がこの先生きのこるには
最も改善が見込めるのはパスラッシュの改善だと思われる。上に見られるパスラッシュスキームの粗削りな部分を修正し「ボールの出所を不安定にさせる」方が、「カバーを今以上に改善する」よりはより”現実的”で”生産的”で”Cool”なアプローチだと考える。
Raiders はここまで、昨季のパフォーマンスからは想像できないようなステップアップをみせている。
Al Davis 時代からの”負の遺産”を精算しつつある。
でも競合するライバルチームとの「モダーンフットボール」の成熟度にはまだまだ差がある。
この差をどれだけの早さで埋められるかに、このチームの浮沈がかかっていると考えます。
ここまで読んでくださった方、ありがとうございます。
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