Week 5までのレイダーズオフェンスの分析
2016シーズンの纏め
オフェンスチーム
- ”D.Carr の Fixed(固定的な/既定の)Pass
と、
- ”強力な O-Line のランブロックを背景にしたグラウンドアタック ”
という、オフェンスの「スタイル」もしくは「アイデンティティー」が確立された
D.Carr
- Carr はマグロイン(でしたっけ?)との競争に勝利してフランチャイズQBの地位を獲得した
- コールするプレイが「当たり」だったときに驚異的なパフォーマンスをみせた。
- 一方でコールが「外れ」だったときはすこぶる良くなかった。
Cooper/Crabtree
- 両サイドに高い競争力を持つワイドアウトを揃えていることは、相手チームに相当な脅威となった。この両サイドがほとんど抵抗を受けずに活躍した試合ではチームは圧勝した。
- Cooper は開幕から数週間はショートパスのキャッチに苦戦した(積極性を欠いた)が、シーズンの深まりとともに自身の課題とされた部分を修正していった。ただし記録したTD数は物足りなかった。
- Crabtree はシーズン序盤から高いレベルでのパフォーマンスを維持し続けた。彼のワンカットでカバーマンを引き離すプレイスタイルは、Carr の持ち味であるFixed なパスと相性が良いのだと思われる。
- 一方で Crabtree はM.Peters (Chiefs)、A.Talib (Broncos) との対戦では「消されていた」。これを「Crabterr の存在が Peters/Talib を消した(他のレシーバーの活躍する機会を保障した)」と捉えるかどうかは見解の分かれるところだと思う
Washington/Richard
二人はこのシーズンを”エースRB”として過ごした L.Murray を食う活躍をみせた。
この二人に共通するのは
- タックラーに捕まったときに自力では振り払えない。つまりブロッカーが露払いして走路を確保してやる必要がある。
- 一方で Los を無抵抗で抜けると軽く10Yard 以上走る
という特徴で、これが左Tから右Gまで強力なタレントを擁するレイダーズのO-Line とフィットした。
— ケチャ[kétʃə]若干舞い上がり中 (@toosourketchup) October 9, 2017
— ケチャ[kétʃə]若干舞い上がり中 (@toosourketchup) October 9, 2017
— ケチャ[kétʃə]若干舞い上がり中 (@toosourketchup) October 9, 2017
TE/Slot
このユニットはレイダーズのオフェンスの柱
- Cooper/Crabtree
- グラウンドアタック
を補完する役割が期待されたが、その役割を果たせなかった。
2016年シーズン中に課題とされたこと
- Cooper/Crabtree の活動が制限されたときに、TE/Slot がその役割を補完すること。攻め手を増やすこと
- Washington/Richard のペアに対して”Difference”を作り出せる、つまりタックラーを引きずってあと3,4ヤードを稼げる”ハードな”RBの獲得
- Carr のアクシデント/インシデントを減らすことと、Carr の戦線離脱に備えること
2017シーズンWeek 5までに、上記課題に対してチームはどう対処したか?
TE/Slotの成長
- J.Cook を獲得した。彼は期待に応える活躍をみせている。
- C.Patterson と S.Roberts もボールの繋ぎ役としての(最低限の)役割を果たしている。
- このユニットは、チームの記録として明らかに昨季より向上している。
- ただ、オフェンスの4本目の柱となるところまでには至っていない
M.Lynch の獲得
- ランニングホールを”待つ”タイプの Murray を切って、ハードなラッシングスタイルに定評のある M.Lynch を獲得した。Week 5までの時点で彼には昨季の Murray を上回るボールタッチの機会があてがわれている。
- ラッシングの成績とその分析は後で触れる。
Carr の成長と彼のバックアップ
- ボールがスナップされたあとの落ち着きが増した。
- イニシャルターゲットに既定のタイミングでパスが投げられなかったときの判断(次を探す/投げ捨てる)に向上のあとがみられる。
- Week 4 における Carr の負傷退場(このアクシデントは Carr の責任ではないように思われる)を受けて E.J.Manuel がリリーフしているが、 Carr に最適化されたオフェンスの指揮をまずまず無難にこなしている
どんなことが課題として残されているか?
グラウンドアタックの不調
ここが一番の誤算となっている。ここさえ機能していれば
- オフェンスの組み立てが楽になる(他のユニットの負担が減らせる/プレイアクションなどそこからプレイを展開させられる
- ディフェンスの健闘(これは嬉しい誤算。別記事で触れる)と併せて所謂「ボールコントロールオフェンス」を展開しチームにとって有利な試合運びが出来たはず
- 例えば Week 4,5,6 の試合は相手に「ラン」をコールさせずに「パス、パス」とコールさせる展開に持ち込めば勝てたかもしれない(Week1,2 はそれで勝った)
レイダーズのラッシングオフェンスの不振の原因について、私がネットで目にした意見のうちで最も興味を惹かれたのが
”レイダーズのブロッキングアサイメントが変更されたことが原因”
とする説。
プロフットにおけるランブロックは「全くのマンツーマン」は珍しく(相手インテリアラインの全員をマンツーマンで完ぺきにブロックできる面子を5人揃えるのはまず不可能)、大抵の場合「コンボブロック(コンビネーションブロック)が用いられる。
このコンボブロックは
- よりマンツーマンに近いコンボブロック
- よりゾーンブロックに近いコンボブロック
の2系統に分けられる。
レイダーズの昨季のグラウンドアタックの好調は、他チームに対して大きな競争力をもつラインメン
- LT D.Penn
- LG K.Osemele
- C R.Hudson
- RG G.Jackson
の、個としての強さとダウンフィールドに向かう速さを活かした、前者のタイプのブロックに支えられていた(上に挙げたツイッター動画を参照してください)。
一方、今季のラッシングアタックでは「よりゾーンブロックに近い」コンボブロックが採用されている。
— ケチャ[kétʃə]若干舞い上がり中 (@toosourketchup) October 9, 2017
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— ケチャ[kétʃə]若干舞い上がり中 (@toosourketchup) October 9, 2017
昨季Week 9 の Broncos 戦との比較
— ケチャ[kétʃə]若干舞い上がり中 (@toosourketchup) October 9, 2017
— ケチャ[kétʃə]若干舞い上がり中 (@toosourketchup) October 9, 2017
確信が持てないので断定は避けるが、O-Linemen がダウンフィールドに向かう速さは確かに昨季のブロッキングスキームの方が速いように見える(今季はより遅い)。
このブロッキングスキームの変更が、ラッシングオフェンスの不振の主たる原因なのかは分からないが、
ものごとが上手くいってないときはこういうところが原因としてやり玉にあげられやすい
のは事実だと思う。この問題への対象方は割と簡単で
昨季上手くいっていたスキームに戻せばいい
と思う。
あと、Washington/Richard のボールタッチの機会を増やしてほしいと思う。
Week 3 以降の Cooper の不振
これは彼が自力で何とかするしかないと思う
以上です。ここまで読んでくださった方、ありがとうございます。
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