どうなる?Raiders Defense
深い失望のうちに2017年シーズンを過ごしたRaiders ファンに良いニュースが届けられました。HC のJ.DelRio とDC K.Norton Jr. が解任されたのです。
以下では
- 2017年シーズンまで、Raiders ディフェンスは何故、どのように拙かったのか?
- 新DC Paul Guenther は前職場でどんなディフェンスを構築したのか?
をふまえて来たる2018年シーズンのRaiders ディフェンスの姿を想像します。どうかお付き合いください。
Raiders ディフェンスは何故、どのように拙かったのか?
先に断っておきますが、私はRaiders ファンとして前HCと前DCが大嫌いです。でもこの二人の悪口だけで記事を埋め尽くしたくもないですし、そこがこの記事のキモでもないのでできるだけ簡潔に述べます。
「どうなる?Raiders Defense」https://t.co/zO9PpdcKXT pic.twitter.com/ir44bU9obt
— ケチャ[kétʃə] (@toosourketchup) June 3, 2018
上のプレイはPatriots 的な「モダーンな」ディフェンススタイルを志向したプレイコールです。この「スタイル」と、このプレイをこのタイミングでコールしたことに文句はありません。しかしこのプレイでは「選手への遂行すべきアサイメントの徹底」に失敗しています。まず第一にRB をフリーにしています(誰かがアサイメントを間違えています)。第二にブリッツ要員の、ブリッツレーンへの突入の仕方がまるでなっていません。NFL ではこういうブリッツの仕掛け方をする場合、「特定のブロッカーを引き付ける囮の役割」を担う選手と「囮の選手が拓いたブリッツレーンにディレイ気味に侵入してQB を仕留める(プライマリーアタッカー)」に分けて、組織的に仕掛けるのが普通です。
— ケチャ[kétʃə] (@toosourketchup) September 26, 2017
プライマリーラッシャーの#56をフリーで突入させるための、ペイトリオッツLGを釣る役割(囮)
”The Top of The EDGEs V.Miller/J.Clowney/K.Mack”https://t.co/NuvjHuFsxU pic.twitter.com/mzAQC5d7kF— ケチャ[kétʃə] (@toosourketchup) June 1, 2018
Raiders のディンダーは全員が「俺が俺が」とQB に殺到しますが、誰一人プロテクションの網をかいくぐってQB に到達できていません。逆に Redskins のパスプロテクションの “execution” は見事です。
「どうなる?Raiders Defense」https://t.co/zO9PpdcKXT pic.twitter.com/6MYMdHbHPH
— ケチャ[kétʃə] (@toosourketchup) June 3, 2018
上のプレイは最悪です。Obi Melifonwu 個人にこのタッチダウンを許した責任があることは間違いありません。でも考えてみてください。
じゃあ、彼のミスさえなけば、このチームに対して、このスナップにおいて、このディフェンスプレイをコールすることは正当化されるでしょうか?
そもそも論としてアサイメントの遂行に失敗するのはその選手の責任ですが、選手にアサイメントの遂行を徹底できないのはコーチの責任です。
強引に纏めます
- ディフェンスの”Principle”、基本的理念が定まっていません。緩く引き気味に守るのか/前がかりでガツガツ行くのか?Raiders 伝統のマンツーマン重視路線のなのか/Paitriots 型の「モダーンな」スタイルなのか?
- スカウティングが拙い。相手のボールの進め方を予測して、その進め方を「潰す」手札を複数用意して、試合の局面毎に適切な「手札を切る」ことが全くできていません。
- 選手全員にそのプレイにおけるアサイメントを精密に遂行させることができない。
もう「何だったら満足にこなせるのさ?」と言いたくなります。彼らについてふれるのは気分が悪いのでここまでにします。
2018年のRaiders ディフェンスを予想する
手がかりとして新DC の前職での業績を簡単に纏めました。
Cincinnati Bengals Defense 2017
以下もご参照ください。
アメフットにおいてディフェンスは何をゴールとすべきなのか
アライメントとアサイメント
Raiders と Bengals のディフェンスは基本理念の部分では共通しています。つまり
- Defensive Front – Linebacker – CB – Safety の各ユニット間の境界が明瞭
- Defensive Front 対 Offensive Line 、Linebacker 対 RB/TE 、CB 対 WR のマッチアップを重視しする
- Safety はそのサポートないし冗長性の確保に動く
という点です。これは新DC が自分のやりたいことをRaiders の選手に移植するうえで良いことだと思います。これがRaiders の選手一同がまったくなじみのない、これまでとかけ離れたスキームだと消化させる方もする方も大変だと思います。
両チームのアライメントの違いで目につくのは”SAM”ストロングサイドのラインバッカーのセット位置です。前シーズンまではB.Irvin はストロングサイドでTE の対面にセットすることが多かったですが彼は来シーズンはDEとして以前と同じ位置にセットするのではないかと思います。一方ストロングサイドのDE として Irvin の内側にセットすることが多かったM.Edwards Jr. はDT登録になるのではないかと思います。この場合、3人のラインバッカーポジションをIrvin を除く3人で埋める必要が生じます。
来シーズンの注目点
1.Defensive Front の生産性
来シーズンのRaiders ディフェンスが復活を遂げるのかまたリーグ底辺に沈むのかは、このユニットの出来如何にかかってくると思います。というか、この4-3 College フォーメーションはランでもパスでもフロントの4人がオフェンスのブロック網を潰してしまうこと、を意図しているからです。
ストロングサイドDE のB.Irvin のコンテイン
彼はRaiders 加入以来高い水準でこのアサイメントを遂行していますが、来シーズンは彼の側のフロントが1枚少なくなった状態で同じ任務を遂行しなければなりません。逆にいうと来シーズンの彼がこれまで通りのコンテイン能力を発揮してみせればRaiders はボックスエリアに閉じ込められたRB を3枚になったラインバッカーで拾うことができるようになります。
2人になったDTの生産性
もうほんとに「ここ」ですよね。来シーズンはマック~アーヴィン間にいたDTの数が3から2になります。この2人で、前シーズンを上回る生産性を上げなくてはいけません。個人的には新加入のP.J Hall とM.Hurst は期待の持てる戦力だと思います。
2.Cornerbacks
昨シーズンをほぼ棒に振ったG.Conley が満を持して実質デビューを飾ります。他2ポジションも他チームでそれなりの実績のある選手を集めました。でも控えのD.McDonald とA.Hamilton は昨シーズンの働きぶりから判断するにNFL でプレイするレベルになく選手層は限りなく薄いです。
このユニットの生産性はディフェンシブフロントの働きに大きく依存しますが、それでもコーチによる適切な介入(スカウティングとカバースキームの調整)によって昨シーズンからの改善が見込めるのではないかと思います。
3.Safety
新DC が上手く使ってくれることを期待するユニットです。私はこのユニットでは特にK.Joseph に注目します。2016年ドラフトにおいて1位指名された彼は、前に向かってプレイすること(ランサポート/ブリッツ)には冴えをみせますが、一方でパスカバーには成長の跡が見えません。昨シーズンはレッドゾーンでは後輩のS.Luani にポジションを奪われる場面もありました。新DC は相手がランをコールする局面をとらえてS にランサポートをさせる上手さがあります。来シーズンはきっとJoseph がスルスルと前に上がってきてRB を仕留める場面が増えるでしょう。でもパスカバーは、、?彼もNFL で生き残る正念場を迎えようとしています。
4.Linebacker
このユニットについては分からないことが多すぎてコメントすべきことが浮かびません。(;´Д`)
というか、来シーズンに限ってはこのユニットには期待すべきではないのではないかと思います。何故ならRaiders ディフェンスにおける来シーズンの位置づけは
「チームの新スキームの屋台骨となる、ディフェンシブフロントへの投資が実ったのかそうでないのか」
を査定する機会になると思われるからです。2018シーズン終了後、このユニットへの投資が不十分だったと査定されれば結局以降の投資はこのユニットに対して集中的に行われるでしょうし、その次の優先順位はCB でしょう。つまりチームがラインバッカーユニットの構築に本腰を入れて取り組む環境がまだ整っていないのです。
まとめ
- 前HC と前DC はクソだった
- ディフェンスを再建するうえでチームは適切と思われる人材を登用した
- 来シーズンのRaiders ディフェンスの注目点はディフェンシブフロントの競争力
- 保有する戦力の活用は間違いなく向上しそう
個人的にはチームとしていい方向に向かうと(期待も込めて)予想します。
最後まで読んでいただきありがとうございます。他の記事も読んでもらえると嬉しいです。
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