2020シーズンWeek1 Texans vs Chiefs 雑感
ポストシーズンの前哨戦になるのでは、と期待していましたがそうはなりませんでした。
Chiefs Offense vs Texsans Defense
昨季圧倒的な攻撃力を生み出した中心メンバーがほぼそのまま残っており今季もその脅威を維持するであろうことが予想されていました。

Chiefs オフェンスはほぼすべてのスナップを通じて上記のフォーメーションを敷きます。そしてこのフォーメーションからフィールドの横幅いっぱいと奥約40ヤードいっぱいの広さのあらゆるエリアに、あらゆるプレイヤーを、あらゆる方法で(ルートで)送り込んできます。つまり、ボールがスナップされる前の段階で彼らが何をしようとしているのか読むことに非常な困難があります。
このChiefs のオフェンスのプレイは大別すると①LoS~20ヤードより手前の浅いエリアのどこかを衝くプレイ群と②20ヤードより奥のエリアに3,4人のレシーバーを同時に送り込む、縦に攻めるプレイ群の2つに分けることができます。プレイコーラーはディフェンスが浅いエリアと深いエリアのどちらに重点を置いているかをキーとして、横に攻めるのか縦に攻めるのかを決め、それから個別のプレイを選択していると推測されます。
対するTexans ディフェンスはフロントライン4人、LB2人+ニッケル、2Sディープという守備体型です。ボックス内の密度が薄くかつ非力(軽量)で、ボックスの外を重視した布陣です。Chiefs はこのTexans に対して守備の密度の低いボックスを重点的に攻めボックスの外を敢えて攻めようとはしませんでした。結果Texans は最も警戒すべき一発タッチダウンを奪われるリスクは避けることができました。一方でChiefs はTexans が密度を低くしたボックスにボールを送り込みチクチクと、しかし確実に前進し続けました。この試合をTexans ディフェンスから見た場合、前半終了間際の自チームのFG失敗から逆に相手にFGを許した3点とINTリターンから許したTDの7点を免責したとするとディフェンスチームの責任失点は21点。この結果は全季チャンピオンChiefs のオフェンスに対して十分に健闘したと言えるのではないでしょうか。
だがちょっと待ってほしい。
得点を重ねるペース、という発想
NFLのゲームではたいていの場合1試合を通じて両チームが8,9回の攻撃機会を分け合います。この8,9回の攻撃機会のうち何回得点圏までボールを進めることができるか、さらにそのうちの何回を実際に得点に結びつけることができるか、が勝敗を分けることになります。
Texans オフェンスがChiefs ディフェンスに対して継続的にボールを進めることが困難であろうことは2Qの半ばには明らかでした。Chiefs オフェンスの責任者はだから、この時点で既に序盤のペースを試合終了まで維持できれば試合終了時点で自チームの挙げる得点が相手チームの挙げる得点を上回るであろうことを見越して敢えて冒険しなかったのではないかと考えられます。
一方でTexans 首脳陣にも同じ算段はたったはずですし彼らにはその事態に対して何らかの手を打つ必要があったわけですがそれができませんでした。
Chiefs が強すぎる問題
Patrick Mahomes のキレッキレのパフォーマンスだけに目を奪われたいけません。Chiefs の強みはむしろチーム作りの堅牢さにこそあると考えます。
『自分たちはこうやってボールを進め得点を重ねる』というビジョンの確かさ
ビジョンに基づいたチームの必要とする人材の登用方法
試合前のスカウティングとゲームプラン作成の周到さ
スナップ毎のプレイコールの確かさ
各プレイごとの11人のプレイヤーの挙動の正確さ
全てが”too damn good”です。ほんとうのところ、このチームどうやって負かしたらいいんでしょうね?
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